浜松医科大学 内科学第三講座 免疫・リウマチ内科浜松医科大学 内科学第三講座 免疫・リウマチ内科

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Interview-04

自由な発想をもつ膠原病医療の担い手

浜松医科大学医学部附属病院
医員
山﨑賢士先生

大学卒業後のキャリアを教えてください。

 私は医師になって最初の6年間は医師としてのすそ野を広げたいと考えていて、静岡済生会総合病院での初期研修を経て、岡山大学大学院で生物統計学などを扱う疫学研究を学ぶ傍ら、岡山市立市民病院の総合内科で専門を問わず、様々な内科疾患を診ていました。まわり道とみられてしまうキャリアですが、私はこの最初の幅広い経験が今の総合内科医として、また膠原病リウマチ内科医としての懐の深さの礎であると自負しています。
 様々な経験をしていく中で「人から頼られる医師になりなさい。」と教えてくれた先生が膠原病リウマチ内科を専門とする先生でした。どんな患者さんにも行くべき道筋をつけてあげていたその背中に近づきたいと憧れ、医師7年目に膠原病リウマチ内科へとあゆみを進めることにしました。
 膠原病リウマチ性疾患は稀少・難病疾患が多く、一般的な市中病院では経験を積むことは難しいわけですが、当科の大先輩である宮本俊明先生が20年かけて築き上げた全国有数の症例数を誇る聖隷浜松病院で、幸運にも膠原病リウマチ内科医としての第一歩を踏み出すことになりました。聖隷では宮本先生にマンツーマンで膠原病のいろはを徹底的にたたきこんでもらい、無我夢中だったその生活は青春時代のようで、今思い出しても胸が熱くなります。「いつ大学に行っても困らないように」と、宮本先生のその親心で一日一日を大切にできました。そして、なんの前触れもなくその異動のタイミングっていうものはくるのですよね。

浜松医科大学医学部附属病院での勤務について教えてください。

 突如として大学病院に呼んでいただいたわけなのですが、聖隷浜松病院での生活からはまるで変りました。選りすぐりの難治性膠原病リウマチ性疾患患者さん一人一人と徹底的に向き合うわけです。聖隷で濃密な時間を過ごしてきたつもりでいたものの、大学病院では小川法良先生、下山久美子先生の庇護のもとでないと、前に進めないことがたくさんでした。下山先生の退院サマリーひとつとっても完璧に指導してくださる私たちへの誠意、患者さんへの誠意に触れ、小川先生の科全体をまとめ、全国の名だたる先生方と渡り歩く、その胆力を直に感じられた時間は、一生の宝物です。
 切磋琢磨する中で、大学での勤務が楽しく笑いながら乗り越えてこられたのは、免疫リウマチ内科の後輩たちのおかげだと思います。大変だなって思う時も、横には一緒に悩み、考える仲間がいたから、次の日も頑張ろうって毎日帰路につくことができました。特に一緒のタイミングで入局した古川省悟先生には、特別お世話になりました。年下の彼ですが、変な話、随分とひきあげてもらった気がします。

今後目指される医療について教えてください。

 大学病院では、比較的稀な難治性治療疾患を診るという特性から、大学病院に勤務しながらも週数回は一般の病院に応援に行くという、いわゆる非常勤勤務先が割り当てられます。
 ここがターニングポイントだったかもしれません。
 私は週に1日の富士宮市立病院にて膠原病リウマチ内科を立ち上げることになりました。
 正直、最初は控え目にいって戸惑いました。毎週浜松から富士宮に行くのは大変だなって思っていましたが、そんな気持ちはすぐになくなりました。富士宮市、そして近隣の富士市には私の医療を必要としてくれる患者さんがたくさんいて、お役に立てている手ごたえをしっかり感じたのです。
 毎週の浜松からのロングドライブの足取りはすぐに軽くなり、充実感を持って富士宮から帰ってこられました。
 そんな日々を送る中で、今後は小さなクリニックで、患者さんの生活に密着した、人生に伴走するような医療を創りたいと思うようになりました。いろいろと将来の進路に悩む中で、当科OBで開業医である木本理先生、鈴木大介先生にもたくさん相談に乗っていただいて、クリニックの見学もさせていただきました。そして皆さんの支えがあって、来年(2023年9月)に富士宮市と富士市のちょうど真ん中にリウマチ内科クリニックを開業することにしました。私が楽しみにしているのは、患者さんを最初に診る医師として地域に尽くせることです。膠原病リウマチ性疾患に限らず、幅広く健康の悩みを解決するお手伝いをしたいと思っています。そしてもちろん、富士・富士宮地域の膠原病リウマチ医療の発展に生涯尽力し続けていくことをライフワークに、これからも先輩・後輩の先生方とともに前進していきたいと考えています。

医学生・研修医の先生へのメッセージ

 「人生どうなるかはわかりませんから、あまり考えすぎても得るものは少ないように思います。決めて、思い切って飛び込んでみるくらいの気構えも必要な気がします。」私が、浜松に来ることを決めた小川先生のこの言葉を引用して結びたいと思います。
 浜松からは離れてしまいますが、なにかお役立ちできることがあれば、小川先生、下山先生を通してでもご連絡下さい。ご相談受け付けております。